2024年 第86回 謙慎書道会展

 

  甲骨文の原始的な味わいを活かして視覚的なまとまりを求めました。疎画の「以」を甲骨・金文に見られる合文を応用して、縦長の字形である二文字目の「微」と合わせ一文字に見えるように構成しました。また「知」「明」共に左文の遺例を用い、全体のベクトルが中心に集まるように工夫しました。

2023年 第39回 読売書法展

 

荀子から「安樂處鄕」の四字句を得て、金文で製作しました。字形に伸びやかさを与えるために、上部の外輪郭を省いて、構成範囲をわずかに縦長にしてみました。今年は夏の訪れがひときわ早く、蒸し暑い中での製作であったことを落款に入れて記録しました。

2023年 第36回 全日本篆刻連盟展

                                               平素、金文や甲骨文を素材にして作品作りをすることが多い

ので、今回の作品は、原点に立ち返って古璽と漢印に倣った

ものとしました。

                                               「敬事無壙」を古璽風の作品にするにあたって、尊古齋印存

という印譜に「敬事」を合文(二字を合わせて一字としたもの)

にした古璽が見られますので、これを使いました。

「參省」は、漢印の安詳(落ち着いていて行儀正しい)の風に

倣いました。

 

 

2024年 第65回 有山社書展

 

 今年は、呉昌碩生誕180年に当たりますので、呉昌碩の詩文を呉昌碩の作風に倣って刻しました。「雨・相」と中央の行の上半に変化の付けにくい文字がきて、まとめるのに苦労しました。上手くいったとは言い難いのですが、とてもよい勉強になりました。

2023年 第10回 日展

 

「行無隱而不形」(行いは隱として形はれざるは無し)

造形的に動きのある字形が少ない印文ですが、敢えて単入刀法で作る箇所を設け、変化ある線質で、躍動感と力強さを求めました。また文字の画数が「行」「而」「不」と、「無」「隠」「形」と疎画と繁画が照応するように工夫しました。

2023年 第51回 日本の書展

 

まだ印泥がなかった頃、印は信書の秘密を守ったり、貴重品を入れた壺の封印として縛ったひもの結び目に粘土を付け、そこに押しつけて使っていました。これを封泥といいます。印を押しつけた粘土は、周囲が盛り上がるようになります。これを拓本に取ると輪郭の太い朱文印のようになります。今回はこの封泥を参考に制作しました。


最近の依頼印から